立派な髭を蓄えた5メートルはあろうかという
大きな魚は優雅に且つ実にゆったりと宙に舞っている。
危害を加えるつもりはさらさらないらしい。
けれど決して閉じる事の出来ない大きな瞳は
何か軽蔑するような目つきでこちらを睨んでいる。
いや、それはあくまで僕の主観にすぎない…。
そう見えるのは幾分の疚しい想いが
僕の中に存在するせいだろうか?
彼はそれすらも見据えたような振る舞いで
僕らの横をゆるりとゆき過ぎた。
僕は一気に怖気づいてしまった…。
君の手前、そんな仕草は見せなかったが、
そんな胸中を君は察したのだろうか?
君の提案でこれ以上進む事を断念した。
折り返す道程で一匹のエンゼルフィッシュが
名残惜しそうに僕らを見送っていた。
途中赤信号を誤って渡ってしまったが、
交差点に居た警官は見過ごしてくれたようだ。
僕らを乗せたサイドカーは空を飛ぶ勢いで
寂れた街の道路を滑走している。
そう、空を飛ぶ勢いだ。視界は良好、
滑走路もしっかり整備がされているようだ。
いや、うまく飛べない…。
あっけなく気流に飲み込まれた僕らは
ただ身を委ねる他なす術がなかった。
やっと静けさが訪れた時
僕は恐くて閉じていた瞼を開いた。
懐かしい田園風景には靄がかかっている。
間もなく遠方で汽笛の音が響いた。
もう猶予がない事を理解すると、
僕は君の手をとって走り出した。

GRAPEVINE|白日
大きな魚は優雅に且つ実にゆったりと宙に舞っている。
危害を加えるつもりはさらさらないらしい。
けれど決して閉じる事の出来ない大きな瞳は
何か軽蔑するような目つきでこちらを睨んでいる。
いや、それはあくまで僕の主観にすぎない…。
そう見えるのは幾分の疚しい想いが
僕の中に存在するせいだろうか?
彼はそれすらも見据えたような振る舞いで
僕らの横をゆるりとゆき過ぎた。
僕は一気に怖気づいてしまった…。
君の手前、そんな仕草は見せなかったが、
そんな胸中を君は察したのだろうか?
君の提案でこれ以上進む事を断念した。
折り返す道程で一匹のエンゼルフィッシュが
名残惜しそうに僕らを見送っていた。
途中赤信号を誤って渡ってしまったが、
交差点に居た警官は見過ごしてくれたようだ。
僕らを乗せたサイドカーは空を飛ぶ勢いで
寂れた街の道路を滑走している。
そう、空を飛ぶ勢いだ。視界は良好、
滑走路もしっかり整備がされているようだ。
いや、うまく飛べない…。
あっけなく気流に飲み込まれた僕らは
ただ身を委ねる他なす術がなかった。
やっと静けさが訪れた時
僕は恐くて閉じていた瞼を開いた。
懐かしい田園風景には靄がかかっている。
間もなく遠方で汽笛の音が響いた。
もう猶予がない事を理解すると、
僕は君の手をとって走り出した。
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