『大田殿女房御返事』(佐後) | 細雪の物置小屋

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[参考]『日蓮大聖人の「御書」をよむ 上 法門編』著者・小林正博
発行所・株式会社第三文明社
『日蓮大聖人の「御書」をよむ 下 御消息編』著者・河合 一
発行所・株式会社第三文明社

 八木(はちぼく)一石(いっこく) 付けたり十合。
 者(ていれば) 大旱魃(だい かんばつ)の代(よ)に、かは(渇)ける物に 水を ほどこ(施)しては、大竜王と生まれて 雨を ふ(降)らして人天を やしな(養)ふ。飢(う)えたる代に、食を ほどこせる人は国王と生まれて其(そ)の国ゆた(豊)かなり。過去の世に金色王(こんじきおう)と申す大王ましましき。其の国をば波羅奈国(はらない こく)と申す。十二年が間、旱魃ゆきて人民う(飢)え死ぬる事おびたゞ(夥)し。宅中には死人充満し、道路には骸骨充満せり。其の時、大王一切衆生を あは(哀)れみて、多くの蔵(くら)を開きて財を施し給(たま)ひて、蔵の中の財つ(尽)きて 唯(ただ)一日の供御(くご)のみ のこ(残)りて候(そうら)ひしに、衆僧を あつめて供養をなし、王と后と僧と万民と皆う(飢)え死なんとせし程に、天より飲食(おんじき)雨の ごと(如)く ふりて大国一時に富貴(ふうき)せりと金色王経に と(説)かれて候(そうろう)。此(これ)も又 か(是)くの ごと(如)し。此(こ)の供養によりて現世には福人となり、後生(ごしょう)には霊山浄土(りょうぜんじょうど)へ まいらせ給(たま)ふべし。恐々謹言。
(平成新編1272~1273・御書全集1018・正宗聖典----・昭和新定[2]1905~1906・昭和定本[2]1587)
[弘安01(1278)年09月24日(佐後)]
[真跡、古写本・無]
[※sasameyuki※]