問ふ、爾前(にぜん)は法華の為(ため)との証 如何(いかん)。答ふ、経に云(い)はく「種々の道(どう)を示すと雖(いえど)も 其(そ)の実(じつ)は仏乗(ぶつじょう)の為なり[細雪注・妙法蓮華経方便品第二の御経文]」と。委細(いさい)に申し度(た)く候(そうろう)と雖も、心地(ここち)違例して候 程(ほど)に省略せしめ候。恐々謹言。
帥殿(そつどの)の物語りしは、下総(しもうさ)に目連樹(もくれんじゅ)と云ふ木の候よし申し候(そうら)ひし。其の木の根を ほ(掘)りて十両ばかり、両方の切目(きりめ)には焼金(やきがね)を宛(あ)てゝ、紙に あつ(厚)く つゝ(包)みて風ひかぬ様(よう)に こしら(拵)へて、大夫次郎が便宜(びんぎ)に給(た)ひ候(そうろう)べきよし御伝へあるべく候。
(平成新編0915~0916・御書全集0973・正宗聖典----・昭和新定[2]1356・昭和定本[2]1121)
[建治01(1275)年11月23日(佐後)]
[真跡、古写本・無]
[※sasameyuki※]