日蓮 涅槃経(ねはんぎょう)の三十二と三十六を開き見るに、第一は誹謗正法(ひぼうしょうほう)の一闡提(いっせんだい)、常没(じょうもつ)の大魚と名づけたり。第二は又 常没なり。其(そ)の第二の人を出(い)ださば提婆達多(だいばだった)・瞿伽梨(くがり)・善星(ぜんしょう)等なり。此(これ)は誹謗五逆の人々なり。詮(せん)ずる所 第一第二は謗法と五逆なり。法蔵比丘(ほうぞう びく)の「設(たと)ひ我(われ)仏を得んに、十方衆生 至心(ししん)に信楽(しんぎょう)して我が国に生まれんと欲(ほっ)し、乃至(ないし)十念して若(も)し生ぜずんば正覚(しょうがく)を取らじ。唯(ただ)五逆と誹謗正法とを除く」云云。此(こ)の願(がん)の如(ごと)きんば法蔵比丘は恒河(ごうが)の第一第二を捨てはてゝこそ候(そうら)ひぬれ。導(どう[細雪注・中国浄土宗の善導のこと])和尚の如くならば末代の凡夫、阿弥陀仏の本願には千中無一なり。
(平成新編0880・御書全集1433・正宗聖典ーーーー・昭和新定[2]1303・昭和定本[2]1075)
[建治01(1275)年06月27日(佐後)]
[古写本・日興筆 北山本門寺]
[※sasameyuki※]