然(しか)るに生(しょう)を捨てゝ悪趣(あくしゅ)に堕(だ)する縁(えん) 一(いち)に非(あら)ず。或(あるい)は妻子眷属(けんぞく)の哀憐(あいれん)に依(よ)り、或は殺生(せっしょう)悪逆の重業(じゅうごう)に依り、或は国主と成(な)りて民衆の歎(なげ)きを知らざるに依り、或は法の邪正(じゃしょう)を知らざるに依り、或は悪師を信ずるに依る。此(こ)の中に於(おい)ても世間の善悪(ぜんなく)は眼前(げんぜん)に在(あ)れば愚人(ぐにん)も之(これ)を弁(わきま)ふべし。仏法の邪正、師の善悪に於ては証果(しょうか)の聖人(しょうにん)すら尚(なお)之を知らず。況(いわ)んや末代の凡夫に於てをや。
(平成新編0117~0118・御書全集0036・正宗聖典ーーーー・昭和新定[1]0234・昭和定本[1]0089)
[正元01(1259)年(佐前)]
[真跡・身延曾存]
[※sasameyuki※]