第四に不妄語戒(ふもうごかい)とは、爾前(にぜん)の諸経の心は 仏は不妄語戒を持(たも)つと説けり。然(しか)りと雖(いえど)も 法華の心は爾前の仏は妄語第一なり。所以(ゆえん)は何(いかん)。爾前の仏は一往(いちおう)世間の不妄語戒を持つに似たりと雖も 未(いま)だ出世の不妄語戒を持たず。二乗・闡提(せんだい)等の九界の衆生の色心(しきしん)を破りて成仏せしめず。能化(のうけ)の仏 未だ妄語罪を免(まぬか)れず、何(いか)に況(いわ)んや所化(しょけ)の弟子をや。然るを今の経に悉(ことごと)く成仏せしむ云云。今身(こんじん)より仏身(ぶっしん)に至るまで、爾前の妄語罪を捨て、法華寿量品の久遠の不妄語戒を持つや不(いな)や、持つと 三返。
(平成新編1441・御書全集ーーーー・正宗聖典----・昭和新定[3]2069・昭和定本[2]1726~1727)
[弘安02(1279)年(佐後)]
[真跡、古写本・無]
[※sasameyuki※]