『船守弥三郎殿許御書(船守弥三郎許御書)』(佐前)(秘) | 細雪の物置小屋

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[参考]『日蓮大聖人の「御書」をよむ 上 法門編』著者・小林正博
発行所・株式会社第三文明社
『日蓮大聖人の「御書」をよむ 下 御消息編』著者・河合 一
発行所・株式会社第三文明社

 わざと使ひを以(もっ)て、ちまき(粽)・さけ(酒)・ほしひ(干飯)・さんせう(山椒)・かみ(紙)しなじな(品々)給(た)び候(そうら)ひ畢(おわ)んぬ。又つかひ(使者)申され候(そうろう)は、御かく(隠)させ給(たま)へと申し上げ候(そうら)へと、日蓮心得申すべく候(そうろう)。
 日蓮 去(い)ぬる五月十二日 流罪の時、その津(つ)に つ(着)きて候(そうら)ひしに、いま(未)だ名をも き(聞)ゝ をよ(及)び まい(進)らせず候(そうろう)ところに、船より あ(上)がりくる(苦)しみ候(そうら)ひきところに、ねんご(懇)ろにあたらせ給(たま)ひ候ひし事はいかなる宿習(しゅくじゅう)なるらん。過去に法華経の行者にてわたらせ給へるが、今 末法に ふなもりの(船守)弥三郎と生まれか(変)はりて日蓮をあわ(愍)れみ給ふか。たとひ(仮令)男は さもあるべきに、女房の身として食を あた(与)へ、洗足(せんぞく)てうず(手水)其(そ)の外(ほか) さも事ねんごろなる事、日蓮はし(知)らず不思議とも申すばかりなし。こと(殊)に三十日あま(余)りありて内心に法華経を信じ、日蓮を供養し給ふ事いかなる事のよし(由)なるや。
(平成新編0261・御書全集1445・正宗聖典----・昭和新定[1]0409・昭和定本[1]0229)
[弘長01(1261)年06月27日(佐前)]
[真跡、古写本・無]
[秘・すこしも人しるならば御ためあ(悪)しかりぬべし]
[※sasameyuki※]