夫(それ)以(おもんみ)れば諸仏 懸遠(けんのん)の難(かた)きことは譬(たと)へを曇華(どんげ)に仮(か)り、妙法 値遇(ちぐう)の縁は比(たぐい)を浮木(ふぼく)に類す。塵数三五の施化に猶(なお)漏れて、正像(しょう ぞう)二千の弘経も稍(やや)過ぎ已(お)はんぬ。闘諍堅固の今は乗戒 倶(とも)に緩(ゆる)く人には弊悪の機のみ多し、何の依憑(たのも)しきこと有らんや。設(たと)ひ内外(ないげ)兼包の智は三祇(さんぎ)に積み大小薫習(くんじゅう)の行は百劫を満つとも、時と機とを弁(わきま)へず本と迹とに迷倒せば其(そ)れも亦(また)信じ難(がた)からん。
(平成新編1875・御書全集1610・正宗聖典0545・昭和新定[-]----・昭和定本[-]----)
[嘉暦03(1328)年07月(佐後)]
[古写本・日時筆 富士大石寺]
[※sasameyuki※]