一切の大事の中に国の亡(ほろ)ぶるが第一の大事にて候(そうろう)なり。最勝王経に云(い)はく「害の中の極(きわ)めて重きは国位を失ふに過(す)ぎたること無し」等云云。文(もん)の心は、一切の悪の中に国王と成(な)りて政(まつりごと)悪(あ)しくして、我が国を他国に破らるゝが第一の悪しきにて候と説かれて候。又 金光明経(こんこうみょうきょう)に云はく「悪人を愛敬(あいぎょう)し善人を治罰(ちばつ)するに由(よ)るが故(ゆえ)に、乃至(ないし)他方の怨賊(おんぞく)来たりて国人喪乱(そうらん)に遭(あ)ふ」等云云。文の心は、国王と成りて悪人を愛し、善人を科(とが)に あ(当)つれば、必ず其の国 他国に破らるゝと云ふ文なり。
(平成新編0909・御書全集1472・正宗聖典----・昭和新定[2]1348・昭和定本[2]1112~1113)
[建治01(1275)年09月(佐後)]
[真跡、古写本・無]
[※sasameyuki※]