問(と)ふ、南岳(なんがく)・天台・伝教(でんぎょう)等の大師、法華経の一乗円宗の教法に依(よ)って弘通(ぐつう)し給(たま)ふと雖(いえど)も、未(いま)だ南無妙法蓮華経と唱へたまはず、如何(いかん)。若(も)し爾(しか)らば、此(こ)の大師 等は未だ当体蓮華を知らず、又(また)証得したまはずと云(い)ふべけんや。答(こた)ふ、南岳大師は観音の化身(けしん)、天台大師は薬王(やくおう)の化身なり云云。若し爾らば霊山(りょうぜん)に於(おい)て本門寿量の説を聞きし時は之(これ)を証得すと雖も、在生(ざいしょう)の時は妙法流布の時に非(あら)ず。故(ゆえ)に妙法の名字を替(か)へて止観(しかん)と号(ごう)し、一念三千・一心三観を修(しゅう)し給ひしなり。
(平成新編0702・御書全集0518~0519・正宗聖典ーーーー・昭和新定[2]1025・昭和定本[1]0767)
[文永10(1273)年(佐後)]
[真跡、古写本・無]
[秘・国主信心あらんの後始めて之を申すべき秘蔵の法門(『当体義抄送状』)]
[※sasameyuki※]