阿闍世王(あじゃせおう)は父を殺害し母を禁固(きんこ)せし悪人なり。然(しか)りと雖(いえど)も涅槃経(ねはんぎょう)の座に来たって法華経を聴聞(ちょうもん)せしかば、現世の悪瘡(あくそう)を治するのみに非(あら)ず四十年の寿命を延引したまひ、結句 無根初住(むこんしょじゅう)の仏記を得たり。提婆達多(だいばだった)は閻浮(えんぶ)第一の一闡提(いっせんだい)の人、一代聖教(いちだいしょうぎょう)に捨て置かれしかども此(こ)の経に値(あ)ひ奉(たてまつ)りて天王如来(てんのうにょらい)の記■(=草-早+別)(きべつ)を授与せらる。彼を以(もっ)て之を推(すい)するに末代の悪人等の成仏不成仏は、罪の軽重(けいちょう)に依(よ)らず 但(ただ)此(こ)の経の信不信に任(まか)すべし。
(平成新編0684・御書全集1373・正宗聖典ーーーー・昭和新定[2]1004・昭和定本[1]0749)
[文永10(1273)年08月03日(佐後)]
[古写本・日興筆 北山本門寺 日順筆 北山本門寺]
[※sasameyuki※]