仏 御年(おんとし)七十二の年、摩竭提国(まかだこく)霊鷲山(りょうじゅせん)と申す山にして、無量義経をと(説)かせ給(たま)ひしに、四十余年の経々をあ(挙)げて、枝葉(しよう)をば其(そ)の中におさ(収)めて、四十余年未顕真実と打ち消し給ふは此(これ)なり。此(こ)の時こそ諸大菩薩・諸天人 等は、あはてゝ実義を請せんとは申せしか。無量義経にて実義とをぼしき事 一言(いちごん)ありしかども、いま(未)だまこと(実)なし。譬(たと)へば月の出(い)でんとして、其の体(かたち)東山にかく(隠)れて光 西山に及(およ)べども、諸人 月体(つきしろ)を見ざるがごと(如)し。
(平成新編0547・御書全集0208・正宗聖典0102・昭和新定[1]0792・昭和定本[1]0569)
[文永09(1272)年02月(佐後)]
[真跡・身延曾存]
[※sasameyuki※]