其(そ)の時(とき)愚人(ぐにん)の云(い)はく、実に小を恥(は)ぢて大を慕(した)ひ、浅きを去(す)てゝ深きに就(つ)くは仏教の理(ことわり)のみに非(あら)ず、世間にも是(これ)法なり。我(われ)早く彼(か)の宗にうつ(移)らんと思ふ。委細(いさい)に彼(か)の旨(むね)を語(かた)り給(たま)へ。彼(か)の仏の悲願(ひがん)の中に五逆・十悪をも簡(えら)ばずと云(い)へる五逆とは何等ぞや、十悪とは如何(いかん)。智人の云はく、五逆とは父を殺し、母を殺し、阿羅漢(あらかん)を殺し、仏身の血を出(い)だし、和合僧を破(は)す、是(これ)を五逆と云ふなり。十悪とは身に三、口に四、意に三なり。身に三とは殺(さつ)・盗(とう)・淫(いん)、口に四とは妄語(もうご)・綺語(きご)・悪口(あっく)・両舌(りょうぜつ)、意に三とは貪(とん)・瞋(じん)・癡(ち)、是(これ)を十悪と云ふなり。
(平成新編0384~0385・御書全集0477・正宗聖典----・昭和新定[1]0585・昭和定本[1]0355)
["文永05(1268)年""文永02(1265)年"(佐前)]
[真跡、古写本・無]
[※sasameyuki※]