小乗経と申(もう)す経は世間の小船のごと(如)く、わづ(僅)かに人の二人三人等は乗(の)すれども百千人は乗せず。設(たと)ひ二人三人等は乗すれども、此岸(しがん)につ(着)けて彼岸(ひがん)へは行きがた(難)し。又すこ(少)しの物をば入(い)るれども、大なる物をば入(い)れがたし。大乗と申すは大船なり。人も十・二十人も乗る上、大なる物をもつ(積)み、鎌倉よりつくし(筑紫)・みち(陸奥)の国へもいたる。
実経と申すは又(また)彼(か)の大船の大乗経にはに(似)るべくもなし。大なる珍宝をもつ(積)み、百千人の(乗)りてかうらい(高麗)なんどへもわた(渡)りぬべし。
(平成新編0895・御書全集1218・正宗聖典----・昭和新定[2]1324~1325・昭和定本[2]1095~1096)
[建治01(1275)年08月04日(佐後)]
[真跡、古写本・無]
[※sasameyuki※]