『観心本尊得意抄(富木殿御返事)』(佐後) | 細雪の物置小屋

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[参考]『日蓮大聖人の「御書」をよむ 上 法門編』著者・小林正博
発行所・株式会社第三文明社
『日蓮大聖人の「御書」をよむ 下 御消息編』著者・河合 一
発行所・株式会社第三文明社

 抑(そもそも)今の御状に云(い)はく、教信(きょうしん)の御房(ごぼう)、観心本尊抄の「未得」等の文字に付いて迹門をよ(読)まじと疑心の候(そうろう)なる事、不相伝の僻見(びゃっけん)にて候か。去(い)ぬる文永年中に此(こ)の書の相伝は整足(せいそく)して貴辺(きへん)に奉(たてまつ)り候(そうら)ひしが、其(そ)の通りを以(もっ)て御教訓(ごきょうくん)有るべく候(そうろう)。所詮(しょせん)、在々処々(ざいざいしょしょ)に迹門を捨てよと書きて候(そうろう)事は、今(いま)我等(われら)が読む所の迹門にては候(そうら)はず、叡山(えいざん)天台宗の過時(かじ)の迹を破(は)し候(そうろう)なり。設(たと)ひ天台・伝教の如(ごと)く法のまゝありとも、今(いま)末法に至(いた)っては去年の暦(こよみ)の如し。何(いか)に況(いわ)んや慈覚より已来(いらい)、大小権実に迷ひて大謗法に同ずるをや。然(しか)る間(あいだ)像法の時の利益(りやく)も之(これ)無し。増して末法に於(おい)てをや。
(平成新編0914~0915・御書全集0972・正宗聖典----・昭和新定[2]1354~1355・昭和定本[2]1119~1120)
[建治01(1275)年11月23日(佐後)]
[真跡、古写本・無]
[※sasameyuki※]