第二 大通智勝仏(だいつうちしょうぶつ)の事
御義口伝に云(い)はく、大通は心王(しんのう)なり。智勝は心数(しんじゅ)なり。大通は迹門、智勝は本門なり。大通智勝は我等(われら)が一身(いっしん)なり。今(いま)日蓮等の類(たぐい)南無妙法蓮華経と唱(とな)へ奉(たてまつ)る者は大通なり。題目を唱ふるは智勝なり。法華経の行者の智は権宗(ごんしゅう)の大智よりも百千万倍勝(まさ)れたる処(ところ)を智勝と心得(こころう)べきなり。大は色法、通は心法なり。我等が生死(しょうじ)を大通と云(い)ふなり。此(こ)の生死の身心(しんしん)に振る舞ふ起念(きねん)を智勝とは云ふなり。爰(ここ)を以(もっ)て之(これ)を思ふに、南無妙法蓮華経と唱へ奉る行者は大通智勝仏なり。十六王子とは我等が心数なり云云。
(平成新編1745・御書全集0732~0733・正宗聖典0429・昭和新定[3]2776・昭和定本[3]2636~2637)
[弘安01(1278)年01月01日(佐後)]
[古写本・上 富士大石寺、下 京都要法寺]
[※sasameyuki※]