蔓草(つるくさ)漬(つけ)たる桶瓶(とうびょう)の中の鹹(しお)は、大海の鹹に随(したが)って満干(みちひ)ぬ。禁獄(きんごく)を被(こうむ)る法華の持者は桶瓶の中の鹹の如(ごと)く、火宅(かたく)を出(い)で給(たま)へる釈迦如来は大海の鹹の如し。法華の持者を禁(いまし)むるは釈迦如来を禁むるなり。梵(ぼん)釈(しゃく)四天(してん)も如何(いかが)驚き給はざらん。十羅刹女(じゅうらせつにょ)の頭破七分(ずはしちぶん)の誓(ちか)ひ、此(こ)の時に非(あら)ずんば何(いつ)の時か果(はた)し給ふべき。頻婆娑羅王(びんばしゃらおう)を禁獄せし阿闍世(あじゃせ)、早く現身(げんしん)に大悪瘡(だいあくそう)を感得(かんとく)しき。法華の持者を禁獄する人、何(なん)ぞ現身に悪瘡を感(かん)ぜざらんや。
(平成新編0264・御書全集1447・正宗聖典----・昭和新定[1]0413・昭和定本[1]0233)
[弘長01(1261)年(佐前)]
[真跡、古写本・無]
[※sasameyuki※]