『乙御前御消息』(佐後) | 細雪の物置小屋

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[参考]『日蓮大聖人の「御書」をよむ 上 法門編』著者・小林正博
発行所・株式会社第三文明社
『日蓮大聖人の「御書」をよむ 下 御消息編』著者・河合 一
発行所・株式会社第三文明社

 漢土にいま(未)だ仏法のわた(渡)り候(そうら)はざりし時は、三皇・五帝・三王(さんのう)、乃至(ないし)太公望(たいこうぼう)・周公旦(しゅうこうたん)・老子・孔子つく(作)らせ給(たま)ひて候(そうら)ひし文(ふみ)を、或(あるい)は経(けい)となづ(名付)け、或は典(てん)等となづく。此(こ)の文を披(ひら)いて人に礼儀をおし(教)へ、父母をし(知)らしめ、王臣(おうしん)を定めて世をおさ(治)めしかば、人もしたが(従)ひ天も納受(のうじゅ)をた(垂)れ給(たま)ふ。此(これ)にたが(違)いし子をば不孝の者と申し、臣(おみ)をば逆臣の者とて失(とが)にあてられし程(ほど)に、月氏(がっし)より仏経わた(渡)りし時、或(ある)一類は用(もち)ふべからずと申し、或一類は用ふべしと申せし程に、あらそ(諍)ひ出(い)で来て召(め)し合(あ)はせたりしかば、外典(げてん)の者(もの)負けて仏弟子(ぶつでし)勝ちにき。其(そ)の後は外典の者と仏弟子を合はせしかば、氷の日(ひ)にと(融)くるが如(ごと)く火の水に滅(めっ)するが如く、ま(負)くるのみならず、なに(何)ともな(無)き者とな(成)りしなり。
(平成新編0894~0895・御書全集1218・正宗聖典----・昭和新定[2]1323~1324・昭和定本[2]1095)
[建治01(1275)年08月04日(佐後)]
[真跡、古写本・無]
[※sasameyuki※]