六道の中に天道(てんどう)と申すは、其(そ)の所に生(しょう)ずるより衣服とゝの(調)をりて生まるゝところなり。人道(にんどう)の中にも商那和修(しょうなわしゅ)・鮮白(せんびゃく)比丘尼(びくに)等は悲母(ひも)の胎内より衣服とゝの(調)をりて生まれ給(たま)へり。是(これ)はたうと(貴)き人々に衣服をあた(与)へたるのみならず、父母・主君・三宝にきよ(清)くあつ(厚)き衣(きぬ)をまい(進)らせたる人なり。商那和修と申せし人は、裸形(らぎょう)なりし辟支仏(びゃくしぶつ)に衣をまいらせて、世々生々に衣服身(み)に随(したが)ふ。■(=情-青+喬)曇弥(きょうどんみ)と申せし女人は、仏にきんばら衣(え)をまいらせて、一切衆生喜見仏(きけんぶつ)となり給ふ。今(いま)法華経に衣(きぬ)をまいらせ給ふ女人あり。後生(ごしょう)には八寒地獄の苦をまぬかれさせ給ふのみならず、今生(こんじょう)には大難をはら(払)ひ、其の功徳のあま(余)りを男女のきんだち(公達)、きぬ(衣)にきぬをかさ(重)ね、いろ(色)にいろをかさね給ふべし。穴賢(あなかしこ)穴賢。
(平成新編1181~1182・御書全集1013~1014・正宗聖典----・昭和新定[2]1738・昭和定本[2]1400~1401)
[建治03(1277)年11月18日(佐後)]
[真跡、古写本・無]
[※sasameyuki※]