『出家功徳御書(一四句偈功徳書)』(佐後) | 細雪の物置小屋

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[参考]『日蓮大聖人の「御書」をよむ 上 法門編』著者・小林正博
発行所・株式会社第三文明社
『日蓮大聖人の「御書」をよむ 下 御消息編』著者・河合 一
発行所・株式会社第三文明社

 近日(このごろ)誰やらん承(うけたまわ)りて申し候(そうろう)は、内々還俗(げんぞく)の心中(しんちゅう)出来(しゅったい)候(そうろう)由(よし)風聞(ふうぶん)候(そうら)ひけるは実事(まこと)にてや候(そうろう)らん、虚事(そらごと)にてや候らん。心元(こころもと)なく候(そうろう)間(あいだ)一筆(いっぴつ)啓せしめ候(そうろう)。
 凡(およ)そ父母の家を出(い)でて僧となる事は、必ず父母を助(たす)くる道にて候(そうろう)なり。出家功徳経に云(い)はく「高さ三十三天に百千の塔婆を立(た)つるよりも、一日の出家の功徳は勝(まさ)れたり」と。されば其(そ)の身は無智無行にもあれ、かみ(髪)をそ(剃)り、袈裟(けさ)をか(懸)くる形には天魔も恐れをなすと見えたり。大集経(だいしっきょう)に云はく「頭(こうべ)を剃り袈裟を著(つ)くれば持戒(じかい)及び毀戒(きかい)も 天人供養すべし。則(すなわ)ち仏を供養するに為(な)りぬ」云云。又(また)一経(あるきょう)の文に、有る人海辺(うみべ)をとを(通)る、一人(いちにん)の餓鬼あ(有)って喜び踊(おど)れり。其(そ)の謂(い)はれを尋(たず)ぬれば、我が七世の孫(まご)今日出家にな(成)れり。其の功徳にひかれて出離生死(しゅつりしょうじ)せん事(こと)喜ばしきなりと答(こた)へたり。されば出家と成る事は我が身助かるのみならず、親をも助け、上(かみ)無量の父母まで助かる功徳あり。されば人身をう(受)くること難(かた)く、人身をうけても出家と成ること尤(もっと)も難(かた)し。
(平成新編1371・御書全集1251・正宗聖典----・昭和新定[3]1989・昭和定本[3]2116~2117)
[弘安02(1279)年05月(佐後)]
[真跡、古写本・無]
[※sasameyuki※]