今(いま)日本国を案(あん)ずるに代(よ)始まりて已(すで)に久(ひさ)しく成(な)りぬ。旧(ふる)き守護の善神(ぜんじん)は定めて福も尽(つ)き寿も減(げん)じ、威光勢力(せいりき)も衰(おとろ)へぬらん。仏法の味をなめてこそ威光勢力も増長すべきに、仏法の味は皆たが(違)ひぬ、齢(よわい)はた(長)けぬ。争(いか)でか国の災(わざわ)ひを払(はら)ひ、氏子(うじこ)をも守護すべき。其(そ)の上謗法の国にて候(そうろう)を、氏神(うじがみ)なればとて大科(だいか)をいまし(戒)めずして守護し候(そうら)へば、仏前(ぶつぜん)の起請(きしょう)を毀(こぼ)つ神なり。しかれども氏子なれば、愛子の失(とが)のやうにす(捨)てずして守護し給(たま)ひぬる程(ほど)に、法華経の行者をあだ(怨)む国主・国人(こくじん)等を、対治(たいじ)を加(くわ)へずして守護する失(とが)に依(よ)りて、梵釈(ぼんしゃく)等のためには八幡(はちまん)等は罰(ばっ)せられ給ひぬるか。此(こ)の事は一大事なり。秘(ひ)すべし秘すべし。
(平成新編1532・御書全集0578・正宗聖典ーーーー・昭和新定[3]2199・昭和定本[2]1834)
[弘安03(1280)年12月(佐後)]
[真跡・富士大石寺(70%以上100%未満現存) 身延曾存]
[秘・八幡大菩薩と梵天・帝釈の関係等]
[※sasameyuki※]