真言宗は天竺(てんじく)よりは之(これ)無し。開元(かいげん)の始めに善無畏三蔵(ぜんむいさんぞう)・金剛智三蔵(こんごうちさんぞう)・不空三蔵(ふくうさんぞう)等天台大師の己証(こしょう)の一念三千の法門を盗んで大日経に入れ、之を立て真言宗と号(ごう)す。華厳宗は則天皇后(そくてんこうごう)の御宇(ぎょう)に之を始(はじ)む。澄観(ちょうかん)等天台の十乗の観法を盗んで華厳経に入れ、之を立て華厳宗と号す。法相(ほっそう)・三論(さんろん)は言(い)ふに足(た)らず。禅宗は梁(りょう)の世(よ)に達磨大師(だるまだいし)楞伽経(りょうがきょう)等大乗の空の一分(いちぶん)を以(もっ)てせしなり。其(そ)の学者等大慢を成(な)して教外別伝(きょうげべつでん)等と称(しょう)し、一切経を蔑如(べつじょ)するは天魔の所為(しょい)なり。浄土宗は善導(ぜんどう)等観経(かんぎょう)等を見て一分の慈悲を起こし、摂地二論(しょうじにろん)の人師(にんし)に向かって一向専修(いっこうせんしゅう)の義を立て了(おわ)んぬ。日本の法然(ほうねん)之を誤り、天台真言等を以て雑行(ぞうぎょう)に入れ、末代不相応(ふそうおう)の思ひを為(な)し国中を誑惑(おうわく)して長夜に迷(まよ)はしむ。之を明(あき)らめし導師は但(ただ)日蓮一人(いちにん)なるのみ。
(平成新編0599~0600・御書全集0139・正宗聖典----・昭和新定[1]0863~0864・昭和定本[1]0638)
[文永09(1272)年05月05日(佐後)]
[真跡・中山法華経寺(100%現存)、古写本・信伝筆"日澄筆" 北山本門寺]
[秘・諸宗批判を内容とするため]
[※sasameyuki※]