問(と)ふ、何(なに)が故(ゆえ)ぞ題目に万法(ばんぽう)を含(ふく)むるや。答(こた)ふ、章安(しょうあん)云(い)はく「蓋(けだ)し序王(じょおう)とは経の玄意(げんい)を叙(じょ)す。経の玄意は文(もん)の心を述(じゅつ)す。文の心は迹本に過(す)ぎたるは莫(な)し」と。妙楽(みょうらく)云はく「法華の文の心を出(い)だして諸教の所以(ゆえん)を弁ず」云云。濁水(じょくすい)心(こころ)無けれども月を得(え)て自ら清(す)めり。草木(そうもく)雨を得て豈(あに)覚(さと)り有(あ)って花さ(咲)くならんや。妙法蓮華経の五字は経文(きょうもん)に非(あら)ず、其(そ)の義に非ず、唯(ただ)一部の意(こころ)ならくのみ。初心の行者は其の心を知らざれども、而(しか)も之(これ)を行ずるに自然に意(こころ)に当たるなり。
(平成新編1114・御書全集0342・正宗聖典0280~0281・昭和新定[2]1651・昭和定本[2]1298)
[建治03(1277)年04月初旬"建治03(1277)年04月10日"(佐後)]
[真跡・中山法華経寺(100%現存)、古写本・日興筆 富士大石寺]
[※sasameyuki※]