『本尊問答抄』(佐後)[古写本] | 細雪の物置小屋

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[参考]『日蓮大聖人の「御書」をよむ 上 法門編』著者・小林正博
発行所・株式会社第三文明社
『日蓮大聖人の「御書」をよむ 下 御消息編』著者・河合 一
発行所・株式会社第三文明社

 然(しか)れば日本国中に数十万の寺社(じしゃ)あり。皆(みな)真言宗なり。たまたま法華宗を並(なら)ぶとも真言は主の如く法華は所従(しょじゅう)なり。若(も)しは兼学(けんがく)の人も心中(しんちゅう)は一同に真言なり。座主(ざす)・長吏(ちょうり)・検校(けんぎょう)・別当(べっとう)、一向(いっこう)に真言たるうへ(上)、上(かみ)に好(この)むところ下(しも)皆したが(従)ふ事なれば一人(いちにん)もも(漏)れず真言師なり。されば日本国、或(あるい)は口には法華最第一とはよ(読)めども、心は最第二・最第三なり。或は身口意(しんくい)共(とも)に最第二・三なり。三業(さんごう)相応(そうおう)して最第一と読める法華経の行者は四百余年が間一人(いちにん)もなし。まして能持此経(のうじしきょう)の行者はあるべしともおぼ(思)へず。「如来現在猶多怨嫉(にょらいげんざいゆたおんしつ)、況滅度後(きょうめつどご)」の衆生は上一人(かみいちにん)より下万民(しもばんみん)にいた(至)るまで法華経の大怨敵(だいおんてき)なり。
(平成新編1279・御書全集0370・正宗聖典0289~0290・昭和新定[3]1914・昭和定本[2]1580)
[弘安01(1278)年09月(佐後)]
[古写本・日興筆 北山本門寺]
[※sasameyuki※]