釈迦仏の伯父(おじ)に斛飯(こくぼん)王と申す王をはします。彼(か)の王に太子(たいし)あり、阿那律(あなりつ)となづ(名付)く。此(こ)の太子生まれ給(たま)ひしに御器(ごき)一つ持ち出(い)でたり。彼の御器に飯(はん)あり。食(しょく)すれば又出(い)でき、又出でき、終(つい)に飯つ(尽)くる事なし。故(ゆえ)にかの太子のをさな(幼)名をば如意(にょい)となづ(名付)けたり。法華経にて仏に成(な)り給(たま)ふ普明如来(ふみょうにょらい)是(これ)なり。此(こ)の太子の因位(いんい)を尋(たず)ぬれば、う(飢)へたる世(よ)にひえ(稗)の飯を辟支仏(びゃくしぶつ)と申す僧に供養せし故(ゆえ)ぞかし。辟支仏を供養する功徳すら此(か)くの如(ごと)し。況(いわ)んや法華経の行者を供養せん功徳は、無量無辺の仏を供養し進(まい)らする功徳にも勝(まさ)れて候(そうろう)なり。
(平成新編1363・御書全集1435~1436・正宗聖典----・昭和新定[3]1977・昭和定本[2]1639~1640)
[弘安02(1279)年05月02日(佐後)]
[真跡、古写本・無]
[※sasameyuki※]