『弥源太入道殿御返事』(佐後) | 細雪の物置小屋

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[参考]『日蓮大聖人の「御書」をよむ 上 法門編』著者・小林正博
発行所・株式会社第三文明社
『日蓮大聖人の「御書」をよむ 下 御消息編』著者・河合 一
発行所・株式会社第三文明社

 但(ただ)し日蓮が眼(まなこ)には僻目(ひがめ)にてや候(そうろう)らん。法華経最第一・皆是真実(かいぜしんじつ)と、釈迦仏・多宝仏・十方の諸仏は説いて証明(しょうみょう)せさせ給(たま)へり。此(こ)の三大師には水火(すいか)の相違(そうい)にて候。其(そ)の末(まつ)を受(う)くる人々、彼(か)の跡(あと)を継(つ)いで彼の所領(しょりょう)田畠(でんぱた)を我が物とせさせ給ひぬれば、何(いか)に諍(あらそ)はせ給ふとも三大師の僻事(ひがごと)ならば此(こ)の科(とが)遁(まぬか)れがた(難)くやおはすらんと見え候(そうら)へども、日蓮は怯弱(こうじゃく)の者にて候へば、かく申す事をも人御用(おんもち)ひなし。されば今(いま)日本国の人々の、我(われ)も我も経を読むとい(云)へども申す事用(もち)ふべしとも覚(おぼ)えず候(そうろう)。
 是(これ)はさて置き候(そうら)ひぬ。御音信(おんおとずれ)も候(そうら)はねば何(いか)にと思(おも)ひて候ひつるに御使(おんつか)ひうれ(嬉)しく候(そうろう)。御所労(ごしょろう)の御平癒(ごへいゆ)の由(よし)うれしく候、うれしく候。尚(なお)仰(おお)せを蒙(こうむ)るべく候。恐々謹言。
(平成新編0742~0743・御書全集1228~1229・正宗聖典----・昭和新定[2]1082~1083・昭和定本[1]0831~0832)
[文永11(1274)年09月17日(佐後)]
[真跡、古写本・無]
[※sasameyuki※]