『上野殿御返事(二管書)』(佐後)[古写本] | 細雪の物置小屋

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[参考]『日蓮大聖人の「御書」をよむ 上 法門編』著者・小林正博
発行所・株式会社第三文明社
『日蓮大聖人の「御書」をよむ 下 御消息編』著者・河合 一
発行所・株式会社第三文明社

 其(そ)の上(うえ)殿はをさな(幼)くをはしき。故(こ)親父は武士なりしかどもあなが(強)ちに法華経を尊(とうと)み給(たま)ひしかば、臨終正念(りんじゅうしょうねん)なりけるよし(由)う(受)け給はりき。其の親の跡(あと)をつ(継)がせ給ひて又(また)此(こ)の経を御信用(ごしんよう)あれば、故(こ)聖霊(しょうりょう)いかに草のかげ(陰)にても喜びおぼすらん。あはれい(生)きてをはせばいかにうれ(嬉)しかるべき。此の経を持(たも)つ人々は他人なれども同じ霊山(りょうぜん)へまいりあわせ給ふなり。いかにいは(況)んや故聖霊も殿も同じく法華経を信ぜさせ給へば、同じところに生まれさせ給ふべし。いかなれば、他人は五六十までも親と同じしらが(白髪)なる人もあ(有)り。我(わ)がわか(若)き身に、親にはや(早)くをく(後)れて教訓をもう(受)け給はらざるらんと、御心のうちを(推)しはか(量)るこそなみだ(涙)もと(止)まり候(そうら)はね。
(平成新編0745・御書全集1508~1509・正宗聖典ーーーー・昭和新定[2]1086~1087・昭和定本[1]0836)
[文永11(1274)年11月11日(佐後)]
[古写本・日興筆 富士大石寺]
[※sasameyuki※]