法華経第五の巻安楽行品(あんらくぎょうほん)に云(い)はく「文殊師利(もんじゅしり)、此(こ)の法華経は無量の国の中に於(おい)て、乃至(ないし)名字(みょうじ)をも聞くことを得(う)べからず」云云。此の文(もん)の心は、我等(われら)衆生の三界六道に輪回(りんね)せし事は、或(あるい)は天に生まれ、或は人に生まれ、或は地獄に生まれ、或は餓鬼に生まれ、畜生に生まれ、無量の国に生(せい)をう(受)けて、無辺の苦しみをうけてたの(楽)しみにあ(値)ひしかども、一度も法華経の国には生(しょう)ぜず。たまたま生まれたりといへども南無妙法蓮華経と唱(とな)へず。とな(唱)ふる事はゆめ(夢)にもな(無)し。人の申すをも聞かず。
(平成新編1354・御書全集1390~1391・正宗聖典----・昭和新定[3]1963・昭和定本[2]1627)
[弘安02(1279)年03月26日(佐後)]
[真跡、古写本・無]
[※sasameyuki※]