『止観第五の事(上野殿母尼御前御返事・上野殿母尼御前御書)』(佐前?)[真跡] | 細雪の物置小屋

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[参考]『日蓮大聖人の「御書」をよむ 上 法門編』著者・小林正博
発行所・株式会社第三文明社
『日蓮大聖人の「御書」をよむ 下 御消息編』著者・河合 一
発行所・株式会社第三文明社

 止観(しかん)第五の事、正月一日(しょうがつついたち)辰(たつ)の時此(これ)をよ(読)みはじ(始)め候(そうろう)。明年(みょうねん)は世間怱々(そうそう)なるべきよし(由)皆(みな)人申すあひだ(間)、一向(いっこう)後生(ごしょう)のために十五日まで止観を談(だん)ぜんとして候が、文あまた(数多)候(そうら)はず候(そうろう)。御計(おんはか)らひ候べきか。
 白米一斗(いっと)御志(おんこころざし)申しつ(尽)くしがた(難)う候。鎌倉は世間かつ(渇)して候、僧はあまた(数多)をは(在)します、過去の餓鬼道(がきどう)の苦をばつぐの(償)わせ候ひぬるか。
 法門の事、日本国に人ごとに信ぜさせんと願(がん)して候ひしが、願や成熟せんとし候らん。当時(とうじ)は蒙古(もうこ)の勘文(かんもん)によりて世間やわ(和)らぎて候なり、子細(しさい)あ(有)りぬと見へ候。本(もと)より信じたる人々はこと(殊)に悦(よろこ)ぶげに候か。恐々謹言。

  母尼ごぜん(御前)にはことに法華経の御信心(ごしんじん)ふか(深)くましまし候なる事、悦び候と申させ給(た)び候へ。
(平成新編0420・御書全集1515・正宗聖典----・昭和新定[2]1363~1364・昭和定本[1]0459~0460)
[文永06(1269)年12月22日"建治01(1275)年12月22日""文永07(1270)年12月22日"(佐前?)]
[真跡・熊本本妙寺(100%現存)]
[※sasameyuki※]