力あ(有)らばと(訪)ひまいらせんとをも(思)うところに、衣を一つ給(たま)うでう(条)存外(ぞんがい)の次第(しだい)なり。法華経はいみじき御経にてをはすれば、もし今生(こんじょう)にいき(生)ある身ともなり候(そうら)ひなば、尼ごぜん(御前)の生きてもをわしませ、もしは草のかげ(陰)にても御らん(覧)あれ。をさな(幼)ききんだち(公達)等をば、かへり(顧)みたてまつ(奉)るべし。さど(佐渡)の国と申し、これと申し、下人(げにん)一人つけられて候(そうろう)は、いつの世にかわす(忘)れ候べき。此(こ)の恩はかへ(返)りてつか(仕)へたてまつ(奉)り候べし。南無妙法蓮華経。南無妙法蓮華経。恐々謹言。
(平成新編0833・御書全集1254・正宗聖典----・昭和新定[2]1227~1228・昭和定本[2]1001~1002)
[建治01(1275)年05月(佐後)]
[真跡・中山法華経寺(100%現存)]
[※sasameyuki※]