『大学三郎殿御書』(佐後)[真跡・古写本] | 細雪の物置小屋

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[参考]『日蓮大聖人の「御書」をよむ 上 法門編』著者・小林正博
発行所・株式会社第三文明社
『日蓮大聖人の「御書」をよむ 下 御消息編』著者・河合 一
発行所・株式会社第三文明社

 而(しか)るに日蓮末代(まつだい)に居(こ)し粗(ほぼ)此(こ)の義を疑ふ。遠きを尊(とうと)み近きを賎(いや)しみ、死せるを上げ生けるを下(くだ)す。故に当世(とうせい)の学者等之(これ)を用(もち)ひず。設(たと)ひ堅(かた)く三帰・五戒・十善戒・二百五十戒・五百戒・十無尽戒(むじんかい)等の諸戒を持(たも)てる比久(びく)、比久尼(びくに)等も、愚癡(ぐち)の失(とが)に依(よ)って小乗経を大乗経と謂(おも)ひ、権大乗経を実大乗経なりと執(しゅう)する等の謬義(みょうぎ)出来(しゅったい)す。大妄語(もうご)・大殺生(せっしょう)・大偸盗(ちゅうとう)等の大逆罪の者なり。愚人(ぐにん)は之を知らずして智者と尊む。設ひ世間の諸戒之を破る者なりとも堅く大小・権実等の経を弁(わきま)へば世間の破戒は仏法の持戒なり。涅槃経に云(い)はく「戒に於(おい)て緩(かん)なる者を名づけて緩と為(な)さず、乗に於て緩なる者を乃(すなわ)ち名づけて緩と為す」等云云。法華経に云はく「是(これ)を持戒と名づく」等云云。重(しげ)き故に之を留(とど)む。事々(ことごと)霊山(りょうぜん)を期(ご)す。恐々謹言。
(平成新編0885~0886・御書全集1205・正宗聖典----・昭和新定[2]1310~1311・昭和定本[2]1083)
[建治01(1275)年07月02日(佐後)]
[真跡・平賀本土寺(100%現存)、古写本・日興筆 北山本門寺]
[※sasameyuki※]