『兄弟抄』(佐後)[真跡(断片)] | 細雪の物置小屋

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[参考]『日蓮大聖人の「御書」をよむ 上 法門編』著者・小林正博
発行所・株式会社第三文明社
『日蓮大聖人の「御書」をよむ 下 御消息編』著者・河合 一
発行所・株式会社第三文明社

 今(いま)二人の人々は隠士(いんし)と烈士(れっし)とのごと(如)し。一(ひとり)もか(欠)けなば成(じょう)ずべからず。譬(たと)へば鳥の二つの羽、人の両眼の如し。又二人の御前(ごぜん)達は此(こ)の人々の檀那(だんな)ぞかし。女人(にょにん)となる事は物に随(したが)って物を随へる身なり。夫(おとこ)たの(楽)しくば妻もさか(栄)ふべし。夫(おとこ)盗人ならば妻も盗人なるべし。是(これ)偏(ひとえ)に今生(こんじょう)計(ばか)りの事にはあら(非)ず、世々生々(せせしょうじょう)に影と身と、華(はな)と果(このみ)と、根と葉との如(ごと)くにておはするぞかし。木にす(棲)む虫は木をは(食)む、水にある魚は水をく(食)らふ。芝(しば)か(枯)るれば蘭(らん)な(泣)く、松さか(栄)うれば柏(かしわ)よろこ(悦)ぶ。草木(そうもく)すら是(か)くの如し。比翼(ひよく)と申す鳥は身は一つにて頭二つあり。二つの口より入(い)る物一身(いっしん)を養ふ。ひぼく(比目)と申す魚は一目づつある故(ゆえ)に一生(いっしょう)が間はな(離)るゝ事な(無)し。夫と妻とは是くの如し。此(こ)の法門のゆへ(故)には設(たと)ひ夫に害せらるゝとも悔(く)ゆる事なかれ。一同(いちどう)して夫の心をいさ(諫)めば竜女(りゅうにょ)が跡(あと)をつ(継)ぎ、末代悪世の女人の成仏の手本と成(な)り給(たま)ふべし。此(か)くの如くおはさば設ひいかなる事あ(有)りとも、日蓮が二聖・二天・十羅刹(じゅうらせつ)・釈迦・多宝(たほう)に申して順次生(じゅんじしょう)に仏にな(成)したてまつ(奉)るべし。
(平成新編0986~0987・御書全集1088・正宗聖典----・昭和新定[2]1186~1187・昭和定本[1]0932~0933)
[建治02(1276)年04月"文永12(1275)年04月16日"(佐後)]
[真跡・富士大石寺外五ヶ所(40%以上70%未満現存)]
[※sasameyuki※]