されば「七難即滅七福即生(しちなんそくめつ しちふくそくしょう)」と祈(いの)らんにも此(こ)の御経第一なり。現世安穏(げんぜあんのん)と見えたればなり。他国侵逼難(たこくしんぴつなん)・自界叛逆難(じかいほんぎゃくなん)の御祈祷(ごきとう)にも、此の妙典に過(す)ぎたるはなし。「百由旬(ゆじゅん)の内に諸(もろもろ)の衰患(すいげん)無(な)からしむべし」と説(と)かれたればなり。然(しか)るに当世の御祈祷はさか(逆)さまなり。先代流布の権教なり。末代流布の最上真実の秘法にあら(非)ざるなり。譬(たと)へば去年の暦(こよみ)を用(もち)ゐ、烏(からす)を鵜(う)につか(使)はんが如(ごと)し。是(これ)偏(ひとえ)に権教の邪師を貴(とうと)みて、未(いま)だ実教の明師に値(あ)はせ給(たま)はざる故(ゆえ)なり。
(平成新編0299~0300・御書全集0467・正宗聖典----・昭和新定[1]0466~0467・昭和定本[1]0284)
[弘長03(1263)年(佐前)]
[真跡、古写本・無]
[※sasameyuki※]