『聖愚問答抄 下』(佐前) | 細雪の物置小屋

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[参考]『日蓮大聖人の「御書」をよむ 上 法門編』著者・小林正博
発行所・株式会社第三文明社
『日蓮大聖人の「御書」をよむ 下 御消息編』著者・河合 一
発行所・株式会社第三文明社

 愚人頭(こうべ)を低(た)れ手を挙げて云はく、我(われ)今よりは一実の経王を受持し、三界の独尊を本師として、今身(こんじん)より仏身(ぶっしん)に至るまで此(こ)の信心敢(あ)へて退転すること無けん。設(たと)ひ五逆の雲厚くとも、乞ふ、提婆達多が成仏を続(つ)ぎ、十悪の波あらくとも、願はくは王子覆講(ふっこう)の結縁に同じからん。聖人云はく、人の心は水の器(うつわ)にしたがふが如く、物の性は月の波に動くに似たり。故に汝当座は信ずといふとも後日は必ず翻(ひるが)へさん。魔来たり鬼来たるとも騒乱(そうらん)する事なかれ。夫(それ)天魔は仏法をにく(憎)む、外道は内道をきら(嫌)ふ。されば猪(い)の金山(こんぜん)を摺(す)り、衆流(しゅる)の海に入(い)り、薪(たきぎ)の火を盛んになし、風の求羅(ぐら)をま(増)すが如くせば、豈(あに)好(よ)き事にあらずや。
(平成新編0408~0409・御書全集0500・正宗聖典----・昭和新定[1]0621・昭和定本[1]0390~0391)
["文永05(1268)年""文永02(1265)年"(佐前)]
[真跡、古写本・無]
[※sasameyuki※]