抑(そもそも)各々はいかなる宿善にて日蓮をば訪(とぶら)はせ給へるぞ。能(よ)く能く過去を御尋ね有らば、なにと無くとも此の度(たび)生死(しょうじ)は離れさせ給ふべし。すりはむどく(須梨槃特)三箇年に十四字を暗(そら)にせざりしかども仏に成りぬ。提婆(だいば)は六万蔵を暗にして無間に堕(お)ちぬ。是(これ)偏(ひとえ)に末代の今の世を表(あらわ)するなり。敢(あ)へて人の上と思(おぼ)し食(め)すべからず。事繁(しげ)ければ止(とど)め置き候ひ了(おわ)んぬ。抑当時の怱々(そうそう)に御志申す計(ばか)り候はねば、大事の事あらあら(粗々)おどろかしまひらせ候。さゝげ(大角豆)・青大豆(あおまめ)給(た)び候ひぬ。
(平成新編0877・御書全集1472・正宗聖典----・昭和新定[2]1299・昭和定本[2]1071)
[建治01(1275)年06月22日(佐後)]
[真跡・富士大石寺外一ヶ所(70%以上100%未満現存)、古写本・日順筆 北山本門寺]
[※sasameyuki※]