『三沢抄』(佐後)[古写本] | 細雪の物置小屋

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[参考]『日蓮大聖人の「御書」をよむ 上 法門編』著者・小林正博
発行所・株式会社第三文明社
『日蓮大聖人の「御書」をよむ 下 御消息編』著者・河合 一
発行所・株式会社第三文明社

 又法門の事はさど(佐渡)の国へなが(流)され候ひし已前(いぜん)の法門は、たゞ仏の爾前(にぜん)の経とをぼしめせ。此の国の国主、我をもたも(持)つべくば真言師等にも召(め)し合はせ給はずらん。爾(そ)の時まことの大事をば申すべし。弟子等にもなひなひ(内々)申すならばひろう(披露)してかれら(彼等)し(知)りなんず。さらばよもあ(合)わじとをも(思)ひて各々にも申さゞりしなり。而(しか)るに去(い)ぬる文永八年九月十二日の夜、たつ(竜)の口にて頸(くび)をはねられんとせし時よりのち(後)、ふびん(不便)なり。我につきたりし者どもに、まことの事をい(言)わざりけるとをも(思)て、さどの国より弟子どもに内々申す法門あり。此は仏より後、迦葉・阿難・竜樹・天親・天台・妙楽・伝教・義真等の大論師・大人師は知りてしたも御心の中に秘せさせ給ひて、口より外には出(い)だし給はず。其の故は仏制(せい)して云はく、我が滅後末法に入(い)らずば此の大法いうべからずとありしゆへ(故)なり。日蓮は其の御使(おんつか)ひにはあらざれども其の時刻にあたる上、存外(ぞんがい)に此の法門をさとりぬれば、聖人(しょうにん)の出(い)でさせ給ふまでま(先)づ序分にあらあら申すなり。而(しか)るに此の法門出現せば、正法像法に論師人師の申せし法門は皆日(ひ)出(い)でて後の星の光、巧匠(たくみ)の後に拙(つたな)きを知るなるべし。此の時には正像の寺堂の仏像・僧等の霊験(れいげん)は皆き(消)へう(失)せて、但(ただ)此の大法のみ一閻浮提(いちえんぶだい)に流布(るふ)すべしとみへて候。各々はかゝる法門にちぎり有る人なればたの(頼)もしとをぼすべし。
(平成新編1204・御書全集1489・正宗聖典ーーーー・昭和新定[2]1781~1782・昭和定本[2]1446~1447)
[建治04(1278)年02月23日(佐後)]
[古写本・日興筆 北山本門寺]
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