御布施七貫文送り給(た)び畢(おわ)んぬ。嘱累品(ぞくるいほん)の御心は、仏虚空(こくう)に立ち給ひて、四百万億那由佗(なゆた)の世界にむさしの(武蔵野)のすすき(芒)のごとく、富士山の木のごとく、ぞくぞく(簇々)とひざ(膝)をつめよせて頭を地につけ、身をま(曲)げ掌をあ(合)はせ、あせ(汗)を流し、つゆ(露)しげくおはせし上行菩薩等・文殊(もんじゅ)等・大梵天王・帝釈(たいしゃく)・日月・四天王・竜王・十羅刹女(じゅうらせつにょ)等に、法華経をゆづ(譲)らんがために、三度まで頂(いただき)をなでさせ給ふ。譬(たと)へば悲母の一子が頂のかみ(髪)をな(撫)づるがごとし。爾(そ)の時に上行乃至(ないし)日月等忝(かたじけな)き仰(おお)せを蒙(こうむ)りて、法華経を末代に弘通せんとちか(誓)ひ給ひしなり。
(平成新編1230・御書全集1245・正宗聖典----・昭和新定[2]1831・昭和定本[2]1508~1509)
[弘安01(1278)年06月25日(佐後)]
[真跡・千葉本壽寺外五ヶ所(10%未満現存)]
[※sasameyuki※]