『当体義抄』(佐後)(秘) | 細雪の物置小屋

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[参考]『日蓮大聖人の「御書」をよむ 上 法門編』著者・小林正博
発行所・株式会社第三文明社
『日蓮大聖人の「御書」をよむ 下 御消息編』著者・河合 一
発行所・株式会社第三文明社

 問ふ、末法今時(こんじ)、誰人(だれびと)か当体蓮華を証得せるや。答ふ、当世の体(てい)を見るに大阿鼻地獄(だいあびじごく)の当体を証得する人之(これ)多しと雖(いえど)も、仏の蓮華を証得せるの人之(これ)無し。其の故は無得道の権教方便を信仰して、法華の当体、真実の蓮華を毀謗(きぼう)する故なり。仏(ほとけ)説いて云はく「若(も)し人信ぜずして此の経を毀謗せば、則(すなわ)ち一切世間の仏種(ぶっしゅ)を断ぜん。乃至(ないし)其の人命終(みょうじゅう)して阿鼻獄に入(い)らん」文。天台云はく「斯(こ)の経は遍(あまね)く六道の仏種を開す。若し此の経を謗(ぼう)ぜば、義断(だん)に当たる」文。日蓮云はく、此の経は是(これ)十界の仏種に通ず。若し此の経を謗ぜば、義是(これ)十界の仏種を断ずるに当たる。是(こ)の人無間(むけん)に於(おい)て決定(けつじょう)して堕在(だざい)す。何ぞ出(い)づる期(ご)を得んや。
 然(しか)るに日蓮が一門は、正直に権教の邪法邪師の邪義を捨てゝ、正直に正法正師の正義を信ずる故に、当体蓮華を証得して常寂光(じょうじゃっこう)の当体の妙理を顕(あら)はす事は、本門寿量の教主の金言を信じて南無妙法蓮華経と唱(とな)ふるが故なり。
(平成新編0701・御書全集0518・正宗聖典ーーーー・昭和新定[2]1024~1025・昭和定本[1]0766~0767)
[文永10(1273)年(佐後)]
[真跡、古写本・無]
[秘・国主信心あらんの後始めて之を申すべき秘蔵の法門(『当体義抄送状』)]
[※sasameyuki※]