『聖愚問答抄 下』(佐前) | 細雪の物置小屋

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[参考]『日蓮大聖人の「御書」をよむ 上 法門編』著者・小林正博
発行所・株式会社第三文明社
『日蓮大聖人の「御書」をよむ 下 御消息編』著者・河合 一
発行所・株式会社第三文明社

 然(しか)れば章安大師涅槃(ねはん)の疏(しょ)に釈(しゃく)して云はく「昔は時平(たいら)かにして法弘(ひろ)まる、戒を持(じ)すべし杖(つえ)を持すること勿(なか)れ。今は時嶮(さか)しくして法翳(かく)る。杖を持すべし戒を持すること勿れ。今昔倶(とも)に嶮しくば倶に杖を持すべし、今昔倶に平かならば倶に戒を持すべし。取捨宜(よろし)きを得て一向にすべからず」と此の釈の意(こころ)分明なり。昔は世もすなを(素直)に人もたゞ(正)しくして邪法邪義無かりき。されば威儀をたゞし、穏便に行業を積みて、杖をも(以)て人を責めず、邪法をとがむる事無かりき。今の世は濁世なり、人の情もひがみゆがんで権教謗法のみ多ければ正法弘まりがたし。此の時は読誦・書写の修行も観念・工夫・修練も無用なり。只(ただ)折伏を行じて力あらば威勢を以(もっ)て謗法をくだき、又法門を以ても邪義を責めよとなり。取捨其の旨を得て一向に執する事なかれと書けり。
(平成新編0403・御書全集0495・正宗聖典----・昭和新定[1]0612~0613・昭和定本[1]0382~0383)
["文永05(1268)年""文永02(1265)年"(佐前)]
[真跡、古写本・無]
[※sasameyuki※]