『就註法華経口伝(御義口伝) 上 序品』(佐後)[古写本] | 細雪の物置小屋

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[参考]『日蓮大聖人の「御書」をよむ 上 法門編』著者・小林正博
発行所・株式会社第三文明社
『日蓮大聖人の「御書」をよむ 下 御消息編』著者・河合 一
発行所・株式会社第三文明社

第二 阿若■[=情-青+喬]陳如(あにゃきょうじんにょ)の事
 疏(しょ)の一に云はく「■[=情-青+喬]陳如は姓なり、此には火器と翻(ほん)ず。婆羅門種(ばらもんしゅ)なり。其の先火に事(つか)ふ。此によりて族に命(な)づく。火に二義有り。照なり、焼なり。照は則(すなわ)ち闇を生ぜず、焼は則ち物を生ぜず。此には不生を以て姓と為(な)す」と。
 御義口伝に云はく、火とは法性の智火なり。火の二義とは、一の照は随縁真如(ずいえんしんにょ)の智なり。一の焼は不変真如(ふへんしんにょ)の理なり。照焼の二字は本迹二門なり。さて火の能作として照焼の二徳を具(そな)ふる南無妙法蓮華経なり。今日蓮等の類(たぐい)南無妙法蓮華経と唱へ奉るは生死の闇を晴らして涅槃の智火明了(みょうりょう)なり。生死即涅槃と開覚するを「照は則ち闇(やみ)生ぜず」と云ふなり。煩悩の薪(たきぎ)を焼いて菩提の慧火(えか)現前(げんぜん)するなり。煩悩即菩提と開覚するを「焼は則ち物(もの)生ぜず」とは云ふなり。爰(ここ)を以て之(これ)を案ずるに、陳如は我等法華経の行者の煩悩即菩提・生死即涅槃を顕(あら)はしたり云云。
(平成新編1721・御書全集0710・正宗聖典0397~0398・昭和新定[3]2746~2747・昭和定本[3]2607~2608)
[弘安01(1278)年01月01日(佐後)]
[古写本・上 富士大石寺、下 京都要法寺]
[※sasameyuki※]