分(わ)かって四門(しもん)と為(な)す
一には小乗の戒体(かいたい)
二には権大乗(ごんだいじょう)の戒体
三には法華開会(かいえ)の戒体 法華・涅槃の戒体に少しく不同有り
四には真言宗の戒体なり
第一に小乗の戒体とは四種(ししゅ)有り。五戒は俗男俗女戒(ぞくなんぞくにょかい)、八斎戒(はっさいかい)は四衆通用、二百五十戒は比丘戒、五百戒は比丘尼戒(びくにかい)なり。而(しか)るに四種倶(とも)に五戒を本と為す。婆沙論(ばしゃろん)に云はく「近事律儀(ごんじりつぎ)は、此の律儀の与(ため)に門と為(な)り依(え)と為り加行(けぎょう)と為るを以ての故に」云云。近事律儀とは五戒なり。されば比丘の二百五十戒・比丘尼の五百戒も始めは五戒なり。五戒とは諸(もろもろ)の小乗経に云はく「一には不殺生戒(ふせっしょうかい)、二には不偸盗戒(ふちゅうとうかい)、三には不邪淫戒(ふじゃいんかい)、四には不妄語戒(ふもうごかい)、五には不飲酒戒(ふおんじゅかい)」以上五戒。此の五戒と申すは、色心(しきしん)二法の中には色法(しきほう)なり。殺(せつ)・盗(とう)・淫(いん)の三は身に犯す戒、不妄語戒・不飲酒戒は口に犯す戒、身口は色法なり。
(平成新編0001・御書全集----・正宗聖典----・昭和新定[1]0001・昭和定本[1]0001)
[仁治03(1242)年"文永03(1266)年"(佐前)]
[真跡、古写本・無]
[※sasameyuki※]