此の比(ころ)は十一月の下旬なれば、相州鎌倉に候ひし時の思ひには、四節の転変は万国皆(みな)同じかるべしと存じ候ひし処に、此の北国(ほっこく)佐渡国に下著(げちゃく)候ひて後、二月(ふたつき)は寒風頻(しき)りに吹いて、霜雪更に降らざる時はあれども、日の光をば見ることなし。八寒を現身に感ず。人の心は禽獣(きんじゅう)に同じく、主師親(しゅししん)を知らず。何(いか)に況(いわ)んや仏法の邪正、師の善悪は思ひもよらざるをや。此等は且(しばら)く之を置く。
(平成新編0487・御書全集0955・正宗聖典----・昭和新定[1]0729・昭和定本[1]0516)
[文永08(1271)年11月23日(佐後)]
[真跡、古写本・無]
[※sasameyuki※]