『顕謗法抄』(佐前)[曾存] | 細雪の物置小屋

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[参考]『日蓮大聖人の「御書」をよむ 上 法門編』著者・小林正博
発行所・株式会社第三文明社
『日蓮大聖人の「御書」をよむ 下 御消息編』著者・河合 一
発行所・株式会社第三文明社

 第二に無間地獄の因果の軽重を明かさば、問うて云はく、五逆罪より外(ほか)の罪によりて無間地獄に堕ちんことあるべしや。答へて云はく、誹謗正法(ひぼうしょうぼう)の重罪なり。問うて云はく、証文如何(いかん)。答へて云はく、法華経第二に云はく「若(も)し人信ぜずして此の経を毀謗(きぼう)せば乃至(ないし)其の人命終(みょうじゅう)して阿鼻獄に入らん」等云云。此の文に謗法は阿鼻地獄の業と見へたり。問うて云はく、五逆(ごぎゃく)と謗法と罪の軽重如何。答へて云はく、大品(だいぼん)経に云はく「舎利弗(しゃりほつ)仏に白(もう)して言(もう)さく、世尊(せそん)五逆罪と破法罪(はほうざい)と相似(そうじ)するや。仏舎利弗に告げたまはく、応(まさ)に相似と言ふべからず。所以(ゆえん)は何(いか)ん、若し般若波羅蜜(はんにゃはらみつ)を破れば則(すなわ)ち十方諸仏の一切智(いっさいち)一切種智(いっさいしゅち)を破るに為(な)んぬ。仏宝を破るが故に、法宝を破るが故に、僧宝を破るが故に。三宝を破るが故に則ち世間の正見(しょうけん)を破す。世間の正見を破れば○(=文章の中略)則ち無量無辺阿僧祇(むりょうむへんあそうぎ)の罪を得るなり。無量無辺阿僧祇の罪を得已(お)はって則ち無量無辺阿僧祇の憂苦(うく)を受くるなり」文。又云はく「破法の業の因縁集むるが故に無量百千万億歳大地獄の中に堕つ。此の破法人の輩(やから)は一大地獄より一大地獄に至り、若し劫火起こる時は他方の大地獄の中に至る。是くの如く十方に遍(あまね)くして彼の間に劫火起こるが故に、彼より死するも破法の業の因縁未だ尽きざるが故に、還(かえ)って是の間の大地獄の中に来たる」等云云。法華経第七に云はく「四衆の中に瞋恚(しんに)を生じ心不浄なる者有り。悪口罵詈(あっくめり)して言はく、是の無智の比丘(びく)と。或は杖木瓦石(じょうもくがしゃく)を以て之を打擲(ちょうちゃく)す。乃至(ないし)千劫阿鼻地獄に於て大苦悩を受く」等云云。此の経文の心は、法華経の行者を悪口し、及び杖を以て打擲(ちょうちゃく)せるもの、其の後に懺悔(さんげ)せりといへども、罪いまだ滅せずして千劫阿鼻地獄に堕ちたりと見えぬ。懺悔せる謗法の罪すら五逆罪に千倍せり。況(いわ)んや懺悔せざらん謗法にをいては阿鼻地獄を出づる期かたかるべし。故に法華経第二に云はく「経を読誦(どくじゅ)し書持(しょじ)すること有らん者を見て軽賎憎嫉(きょうせんぞうしつ)して結恨(けっこん)を懐(いだ)かん。乃至(ないし)其の人命終(みょうじゅう)して阿鼻獄に入り、一劫を具足して劫尽きなば更(また)生まれん。是くの如く展転(てんでん)して無数劫(むしゅこう)に至らん」等云云。
(平成新編0279~0280・御書全集0447~0448・正宗聖典----・昭和新定[1]0435~0437・昭和定本[1]0254~0256)
[弘長02(1262)年(佐前)]
[真跡・身延曾存]
[※sasameyuki※]