いも(芋)のかしら(頭)・河のり(苔)・又わさび一々人々の御志承り候ひぬ。鳥のかいご(卵)をやしなひ、牛の子を牛のねぶ(舐)るが如し。
夫(それ)衣は身をつゝ(包)み、食は命をつぐ。されば法華経を山中にして読みまいらせ候人を、ねんご(懇)ろにやしな(養)はせ給ふは、釈迦仏をやしなひまいらせ、法華経の命をつ(継)ぐにあらずや。妙荘厳王(みょうしょうごんのう)は三聖を山中にやしなひて沙羅樹(しゃらじゅ)王仏となり、檀王(だんのう)は阿私(あし)仙人を供養して釈迦仏とならせ給ふ。されば必ずよ(読)みか(書)ゝねども、よ(読)みか(書)く人を供養すれば、仏になる事疑ひなかりけり。経に云はく「是の人仏道に於て決定(けつじょう)して疑ひ有ること無けん」と。南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経。
橘三郎殿・太郎大夫(たいふ)殿、一紙に云云、恐れ入り候。返す返すははき(伯耆)殿読み聞かせまいらせ給へ。
(平成新編0954・御書全集1530・正宗聖典----・昭和新定[2]1435~1436・昭和定本[2]1146~1147)
[建治02(1276)年03月18日(佐後)]
[真跡、古写本・無]
[※sasameyuki※]