『曾谷入道殿御返事(方便品長行事)』(佐後) | 細雪の物置小屋

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[参考]『日蓮大聖人の「御書」をよむ 上 法門編』著者・小林正博
発行所・株式会社第三文明社
『日蓮大聖人の「御書」をよむ 下 御消息編』著者・河合 一
発行所・株式会社第三文明社

 方便品の長行(じょうごう)書き進(まい)らせ候。先に進らせ候ひし自我偈(じがげ)に相副(そ)へて読みたまふべし。此の経の文字は皆悉(ことごと)く生身(しょうじん)妙覚の御仏なり。然(しか)れども我等は肉眼(にくげん)なれば文字と見るなり。例せば餓鬼は恒河(ごうが)を火と見る、人は水と見る、天人は甘露(かんろ)と見る。水は一なれど果報に随(したが)って別々なり。此の経の文字は盲眼(もうげん)の者は之を見ず、肉眼の者は文字と見る、二乗は虚空(こくう)と見る、菩薩は無量の法門と見る、仏は一々の文字を金色(こんじき)の釈尊と御覧有るべきなり。即持仏身とは是なり。されども僻見(びゃっけん)の行者は加様(かよう)に目出度く渡らせ給ふを破し奉るなり。唯(ただ)相構へ相構へて異念無く一心に霊山浄土を期(ご)せらるべし。心の師とはなるとも心を師とせざれとは六波羅蜜経の文ぞかし。委細は見参の時を期し候。恐々謹言。
(平成新編0794・御書全集1025・正宗聖典----・昭和新定[2]1167・昭和定本[1]0912~0913)
[文永12(1275)年03月(佐後)]
[真跡、古写本・無]
[※sasameyuki※]