客の曰く、今生後生誰(たれ)か慎まざらん誰か和(したが)はざらん。此の経文を披(ひら)きて具(つぶさ)に仏語を承(うけたまわ)るに、誹謗の科(とが)至って重く毀謗(きぼう)の罪誠に深し。我(われ)一仏を信じて諸仏を抛(なげう)ち、三部経を仰ぎて諸経を閣(さしお)きしは是(これ)私曲(しきょく)の思ひに非ず、則ち先達(せんだつ)の詞(ことば)に随ひしなり。十方の諸人も亦復是くの如くなるべし。今世(こんぜ)には性心(しょうしん)を労(ろう)し来生(らいしょう)には阿鼻に堕(だ)せんこと文(もん)明らかに理詳(つまび)らかなり疑ふべからず。弥(いよいよ)貴公の慈誨(じかい)を仰ぎ、益(ますます)愚客の癡心(ちしん)を開き、速やかに対治を廻らして早く泰平を致し、先づ生前を安(やす)んじ更に没後を扶(たす)けん。唯(ただ)我が信ずるのみに非ず、又他の誤りをも誡(いまし)めんのみ。
(平成新編0250・御書全集0032~0033・正宗聖典0071~0072・昭和新定[1]0384~0385・昭和定本[1]0226)
[文応01(1260)年07月16日"文応01(1260)年07月"(佐前)]
[真跡・中山法華経寺(70%以上100%未満現存)、古写本・日興筆 富士大石寺 日興筆 玉沢妙法華寺]
[※sasameyuki※]