たからとす。山の中には塩をたからとす。魚は水ををや(親)とし鳥は木を家とす。人は食をたからとす。かるがゆへに大□□王(□=磨滅による欠字)は民ををや(親)とし、民は食を天とすとか(書)ゝれたり。食には三つの徳あり。一には命をつぎ、二にはいろ(色)をまし、三には力をそ(添)う。人に物をほどこせば我が身のたすけとなる。譬へば人のために火をともせば我がまへ(前)あき(明)らかなるがごとし。悪をつくるものをやしな(養)へば命をますゆへに気ながし。色をますゆへに眼にひかりあり。力をますゆへに、あし(足)はや(速)くて(手)き(利)く。かるがゆへに食をあたへたる人、かへりていろもなく、気もゆわ(弱)く、力もなきほう(報)をうるなり。
一切経と申すは紙の上に文字をのせたり。譬へば虚空に星月のつらなり、大地に草木の生ぜるがごとし。この文字は釈迦如来の気にも候なり。気と申すは生気なり。この生気に二あり。一には九界
(平成新編1321・御書全集1598・正宗聖典----・昭和新定[3]1941~1942・昭和定本[2]1607~1608)
[弘安01(1278)年(佐後)]
[真跡(断簡)・富士大石寺外一ヶ所(100%現存)]
[※sasameyuki※]