問うて云はく、法華経を信ぜん人は本尊並びに行儀並びに常の所行は何にてか候べき。答へて云はく、第一に本尊は法華経八巻・一巻・一品、或は題目を書きて本尊と定むべしと、法師品(ほっしほん)並びに神力品に見えたり。又たへたらん人は釈迦如来・多宝仏を書きても造りても法華経の左右に之を立て奉るべし。又たへたらんは十方の諸仏・普賢菩薩等をもつくりかきたてまつるべし。行儀は本尊の御前にして必ず坐立行(ざりゅうぎょう)なるべし。道場を出でては行住坐臥(ぎょうじゅうざが)をゑらぶべからず。常の所行は題目を南無妙法蓮華経と唱ふべし。たへたらん人は一偈一句をも読み奉るべし。助縁(じょえん)には南無釈迦牟尼仏・多宝仏・十方諸仏・一切の諸菩薩・二乗・天人・竜神・八部等心に随ふべし。愚者多き世となれば、一念三千の観を先とせず、其の志あらん人は必ず習学して之を観ずべし。
(平成新編0229・御書全集0012・正宗聖典0319~0320・昭和新定[1]0360・昭和定本[1]0202)
[文応01(1260)年05月28日(佐前)]
[古写本・日興筆 神奈川由井氏]
[※sasameyuki※]