問ふ、一念三千の正(まさ)しき証文如何。答ふ、次に申し出だすべし。此に於て二種有り。方便品に云はく「諸法実相所謂諸法如是相乃至欲令衆生開仏知見」等云云。底下(ていげ)の凡夫理性所具(りしょうしょぐ)の一念三千か。寿量品に云はく「然我実成仏已来無量無辺」等云云。大覚世尊久遠実成(くおんじつじょう)の当初証得の一念三千なり。今日蓮が時に感じ此の法門広宣流布するなり。予年来(としごろ)己心に秘すと雖も此の法門を書き付けて留め置かずんば、門家(もんけ)の遺弟等定めて無慈悲の讒言(ざんげん)を加ふべし。其の後は何と悔ゆとも叶ふまじきと存する間貴辺に対し書き遺(のこ)し候。一見の後は秘して他見有るべからず、口外も詮無し。法華経を諸仏出世の一大事と説かせ給ひて候は、此の三大秘法を含めたる経にて渡らせ給へばなり。秘すべし秘すべし。
(平成新編1595~1596・御書全集1023・正宗聖典0303、1035・昭和新定[3]2284・昭和定本[2]1865~1866)
[弘安05(1282)年04月08日"弘安04(1281)年04月08日"(佐後)]
[古写本・日時筆 富士大石寺、日親筆 京都本法寺]
[秘・日蓮が己心に秘す法門]
[※sasameyuki※]