『御衣布并御単衣御書(御衣並単衣御書)』(佐後)[真跡] | 細雪の物置小屋

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[参考]『日蓮大聖人の「御書」をよむ 上 法門編』著者・小林正博
発行所・株式会社第三文明社
『日蓮大聖人の「御書」をよむ 下 御消息編』著者・河合 一
発行所・株式会社第三文明社

 御衣(おんころも)の布、並びに御単衣(ひとえぎぬ)給び候ひ了(おわ)んぬ。
 鮮白(せんびゃく)比丘尼と申せし人は、生まれさせ給ひて御衣をたてまつりたりけり。生長するほどに次第にこの衣大になりけり。後に尼とならせ給ひければ法衣となりにけり。ついに法華経の座にして記■(=花-化+別)(きべつ)をさづかる。一切衆生喜見如来これなり。又法華経を説く人は、柔和忍辱衣(にゅうわにんにくえ)と申して必ず衣あるべし。物たね(種)と申すもの一なれども、う(植)えぬれば多となり、竜は小水を多雨となし、人は小火を大火となす。衣かたびら(帷子)は一なれども、法華経にまいらせさせ給ひぬれば、法華経の文字は六万九千三百八十四字、一字は一仏なり。此の仏は再生敗種(さいしょうはいしゅ)を心符とし、顕本遠寿(おんじゅ)を其の寿(いのち)とし、常住仏性を咽喉(のんど)とし、一乗妙行を眼目(げんもく)とせる仏なり。「応化は真仏に非ず」と申して、三十二相八十種好の仏よりも、法華経の文字こそ真の仏にてはわたらせ給ひ候へ。仏の在世に仏を信ぜし人は仏にならざる人もあり。仏の滅後に法華経を信ずる人は「無一不成仏」とは如来の金言なり。この衣をつく(裁)りて、かたびら(帷子)をきそ(着添)えて法華経をよみて候わば、日蓮は無戒の比丘なり、法華経は正直の金言なり、毒蛇の珠をはき、伊蘭(いらん)の栴檀(せんだん)をいだすがごとし。恐々謹言。
(平成新編0908・御書全集0971・正宗聖典1032・昭和新定[2]1346~1347・昭和定本[2]1111~1112)
[建治01(1275)年09月28日(佐後)]
[真跡・中山法華経寺(100%現存)]
[※sasameyuki※]